「リュミエールの不思議な絵本」前半部分のストーリーを公開

プロローグ
とある世界のとある場所。美しい海辺に「リュミエール」という名の街がありました。
街の中心には「ルミナスオーブ」と呼ばれる球体が輝いていて、住民たちが紡ぎ出す笑顔や活気がエネルギーとなって魔法の光が街を包んでいたのです。
ルミナスオーブは街に明かりを灯し、光を与え、いつもにぎわうリュミエールを象徴していました。
街はオーブの光とともに、住人たちはいつも活気にあふれ、お祭りのような毎日を過ごしている…はずでした。
ある時、どこからともなく「黒い影」が忍び寄り、住民たちの心にそっと入り込んだのです。人々からは笑顔が消えていき、互いに関わり合わなくなってしまいました。
すると街の活気はどんどんと失われ、「ルミナスオーブ」の光も弱まり、街には暗く寂しい影が広がり始めたのです。
「このままではいけない!」そういって立ち上がった一人の勇者がいました。
かつての活気に溢れていたリュミエールを取り戻すため、黒い影たちを退けることを決意したのです。勇者は…
ここから先、絵本のストーリーを失ってしまいました。そこで異世界から来たパーティーが新しくストーリーを繋ぎ直していきます。
本編(冒頭部分)
リュミエールでは、年に一度「陽灯祭」という大切なお祭りが開かれます。
街は太陽のように明るい装飾で彩られ、広場には賑やかな音楽が響き渡り、香ばしい屋台の匂いが風に乗って漂います。
子どもたちは魔法の光が舞う通りを駆け回り、大人たちは笑顔で語らい、誰もがこの日を心待ちにしていました。
しかし――どこか少し奇妙です。
笑顔を浮かべながらも、どこか遠くを見つめる人々の瞳。
ふとした瞬間に起こる些細な言い争い。
そして、その様子を見て見ぬふりをする周囲の人々。
祭りの中心にある「ルミナスオーブ」は確かに輝いています。
しかし、その光はどこか弱々しく、頼りなく揺れているように見えました。
「ねぇ、なんだか変だと思わない?」
一人の少年の声が、祭りの喧騒にかき消されていきます。
その言葉は誰にも届かず、街はいつも通りの賑わいを装い続けていました。
けれど、その輝きの中に、確かに「黒い影」は広がり始めていたのです。
少年の呟きが風に溶けて消えた頃、街の片隅にひっそりと、けれど確かに「五つの影」が根を張り始めていました。
ある家では「イソガシ」が時間を奪い、親子の心をすれ違わせました。
ある通りでは「シラナイ」が扉に鍵をかけ、助けの手を遠ざけました。
ある店では「ヒカク」が自信を曇らせ、大切な想いを見えなくしました。
ある工房では「キョウフ」が足元を縛り、未来への一歩を止めました。
ある丘では「フアン」が声を震わせ、歌を風に消しました。
その影たちは、まるで冷たい霧のように街に広がり、祭りの明るい光の隙間にも忍び込んでいくのです。
気づけば子供たちの笑い声は少しずつ小さくなり、大人たちの言葉はどこか遠くへ消えていくようでした。
誰もが心のどこかで気づいていました。
――このままでは、リュミエールの光が消えてしまう、と。
けれど、かつて街を救った勇者の物語はもうどこにも見当たりません。
静かな風が、祭りの旗を揺らしました。
遠くから、小さな光の粒がふわりと舞い降りてきます。
物語はまだ終わりません。
これは、今を生きる“誰か”の手によって、新しいページがめくられる時なのです。
勇者を失い、繋がりが途切れ始めた街。
けれど、その代わりに現れたのは、異世界から迷い込んだ者たちでした。
彼らは特別な力を持っているわけでも、英雄のような武勇伝があるわけでもありません。
ただ――「つながることの大切さ」を、知っている者たちでした。
これは、魔王を倒す物語でも、悪を滅ぼす冒険でもありません。
人と人とを、もう一度繋ぎ直すための、小さな物語です。
けれど、一人では何も変えられない。
必要なのは、信じ合える仲間。
支え合える仲間。
共に歩める仲間。
「ねえ。」
ふと、あの少年が声をかけてきました。
「あなたはなんだか違うね。もし何かを探しているなら、広場の先にある酒場に行くといいよ。そこには、あなたみたいに何かを変えたいって願う人たちが集まってるらしいから。」
祭りの賑やかな音が遠のき、薄暗い灯りが揺れる酒場。
そこには、心に小さな光を灯した者たちが、きっと集まっているはずです。
冒頭のストーリーを手に入れた異世界の冒険者はパーティーを組み、リュミエールのショートストーリーを集めます。
リュミエールの世界はどうなってしまうのか――
ここからはあなたの手でストーリーを繋ぎ直してください!